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zoom RSS 人を育てること

<<   作成日時 : 2008/08/02 08:17   >>

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戦国の武将伊達政宗は、梵天丸といわれた年少期は、
臆病で気おくれする性格であったという。

これは、疱瘡を患い、片目を失い容貌が醜怪になり
母親の於義に疎まれたためとも言われている。

彼の性格を変えたのは、乳母の喜多という婦人であった。
彼女は、梵天丸に当時奥州で著名な行者である万海上人の
生まれ変わりと思い込ませたりしたという。

政宗は、晩年
「おだてられると、ときに人間は人変わりするものだ。
喜多というおだてぬしがいなければ、わしは世にいなかったかもしれない。」
とよく言ったという。

喜多におだてられ、自分というこの男に神秘を感じ、
それを信仰し、常ならざる使命感をもつにいたったのかもしれない。

小説「馬上少年過ぐ」の一遍である。

人に長所を的確に見出し、それを最大限に引き出す。

この教育者としての卓越した能力をもっていたのが、
吉田松陰
という人だろう。

松陰の教育法のこつは門生の長所をじつに的確にひきだしてきて
それを天下一とか防長随一とかいったふうにとほうもなく大きくおだてて
感奮させるところにあった。

後に、伊藤博文となった伊藤利輔については
「才劣り、学おさなきも」
「質直にして華なし。僕、頗るこれを愛す。」
と評しながらも
「周旋の才あり。」
としている。

「周旋の才」とは、ひとびとの間を駆け回りものごとをまとめる能力のことである。

この彼の能力は、後に明治政府が無謀な
「征韓論」
に傾きかけたときに、一日でその情勢を覆した時に遺憾なく発揮された。

彼は、後に政治家になった。

松陰という人は、どうにも快活な人で密航に失敗して長州へ送還され
野山獄に入れられたときも、獄の囚人の人たちに
「おのおのの得意な一芸(書や和歌など)を教えあおう。」
と持ちかけ、
日をきめてたがいに師匠になったり、弟子になったりする相互教育システムを獄につくった。

偏狭な人も
「先生」
と呼ばれることによって、次第にその容儀まで堂々としてきて、
顔も言葉づかいもおだやかになった。

獄風は一変したという。

一方、吉田松陰の受けた教育というのは

徹底的に
「私」
を排除するものであった。

師は、叔父の玉木文之進である。

松下村塾
は、彼が開いた家塾である。

松陰の教場は野天である。
文之進が畑仕事をする。
松陰はあぜに腰をおろして本をひらいている。
文之進が諳んじていく。
そのあと松陰がひとりで朗読する。

ある夏のことである。
その日は格段に暑く、松陰の顔じゅうが汗で濡れ、
その汗のねばりに蠅がたかってたまらなくかゆかった。
松陰はつい手をあげて掻いた。

これが文之進の目にとまった。

「それでも侍の子か。」
と声をあげるなり松陰をなぐりたおし、起き上がるとまたなぐり、
ついに庭の前のがけへむかってつきとばした。

「痒みは私。
掻くことは私の満足。
それをゆるせば長じて人の世に出たとき私利私欲をはかる人間になる。
だからなぐるのだ。」
というのが理由である。

侍は、公のためにつくすものであるという以外にない。
肉体を殴りつけることによって恐怖させ、そういう人間の本然の情(私利私欲)を
幼いうちからつみとるか封じる。

「侍はつくるものだ。
 生まれるものではない。」

というのが玉木の教育方針であった。

松陰は、5歳から18歳までのあいだ、このような教育を受けた。

吉田松陰という人は、その不屈の精神の格調の高さや教育者としての
能力は卓越しているが、実務能力という点では疑問がある。

彼の短い人生での行動と結果を見るとどこかヘマな感じがするのである。

玉木文之進の門人には乃木希典もいる。
彼についても同じような印象を受けるのである。

無論、だからといって彼らの歴史上の業績を少しも貶めるものではない。

人を育てるということは、難しい。

しかし、人を育てること、つまり教育にはすべてを変える力がある。


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