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zoom RSS 無想剣

<<   作成日時 : 2010/08/16 10:50   >>

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こんな話がある。

「あるキコリが山中で樹を伐っていると、
 妙な獣がそばに寄ってきてキコリをあざ笑った。」

キコリが驚いてふりかえると、かつて見たこともない異獣なので
生け捕りにしようと思った。

ところが、異獣には、人の心がいちはやくわかるらしく

「おまえ、わしを生け捕りにしようと思ったであろう」
といよいよあざわらった。

キコリは覚られたか、とおどろくと

「おまえ、覚られたか、と思ったろう」
と異獣がいった。

キコリはいちいち心中を見すかされるので
(いっそこの斧でひと打ちに打ち殺してくれよう)

と思うと、異獣は

「そら、殺そうと思った」
と、赤い口をあけて笑った。

キコリはもうばかばかしくなり、こんな面倒な相手は
うちすてておこうと思い、斧をとりあげて樹を伐る仕事を続けようとした。

「あはは、キコリよ、こう心を見透かされてはかなわぬといま思ったであろう」

異獣は勝ちほこっていたが、キコリはもう相手にせず、
杉の根方に丁々と斧を打ち込む作業に没頭した。

そのうち、斧の頭がゆるんでいたのか、ふりあげたとたん
弾みで柄から脱け、キラリと空を飛んで、異獣の方角にとんだ。

斧は無心である。

異獣は避けることができず、頭蓋を打ち砕かれ
二言も発せず、即死した。

その異獣の名は
サトリ
という。

このサトリが、敵が来るべきを未然に察知する智剣であるとすれば
その斧の頭が、無想剣の極意であるという。

剣客は、その斧の頭でなければならない。

敵に襲われ殺気を感じたとたん、無心に刀のツカに手をかけ
振りかえりざま抜き打ちに斬る。
斬った瞬間、地を蹴って移動し刀を構える。

構えるまでのあいだ、ほとんど忘我である。
恐怖もない。

この動作ができるまで、剣客は反復動作の訓練を行う。

千葉周作を描いた「北斗の人」に書かれていた話である。




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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
妖怪サトリの話、深いものがありますね。
無心ということ、剣に限らず、色んなことにも当てはまりそうです。
桃源児
2010/08/16 10:53

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